◆ ロータンクの構造
水洗トイレのタンクは多くの機種がありますが、水を出したり、とめたりする原理はほとんど同じです。一般家庭でよく使われているのは、排水管がない「密結型ロータンク」と、タンクが壁に取り付けられている「すみ付きロータンク」とがあります。また、手洗い器付きと、最近では手洗いのないものも増えています。
(※ロータンク以外の機種のことです)
レバーをひねると、ゴムフロートが引き上げられ、水が便器に流れ出します。
水位とともに浮き玉が下がり、水の供給が始まります。
ゴムフロートは、水に浮いているので、かなり水位が下がるまで閉じません。
ゴムフロートが閉じ、水位が上がると、浮き玉も押し上げられるので給水がとまります。
◆◆ ロータンクの故障と修理/水が出ない場合
■ タンクに水がたまっている場合
レバーとゴムフロートをつないでいるクサリがはずれたか、切れています。クサリが切れている場合は、ゴムフロートごと交換しましょう。
■ タンクに水がない場合
1
止水栓が閉じていないか確かめましょう。
案外多いのがこのケースで、止水栓を左にまわすと、水は出ます。
2
浮き玉がタンクの壁にひっかかり、下がらないことがあります。
支持棒ごと浮き玉をはずして支持棒を曲げ、浮き玉が壁に触れないようにつけ直しましょう。
3
止水栓や浮き玉に異状がないときは、水アカなどにより、ボールタップルのピストンバルブの動きがスムーズにいかなくなっています。
止水栓を閉めてから、ピストンバブルを取り出し、ブラシやサウンドペーパー(600番位)で水アカを落とします。
ボールタップの動く部分の水アカもよく落としておきましょう。
◆◆◆ ロータンクの故障と修理/水がとまらない場合
■ 水位がサイフォン(オーバフロー管)より低いとき
ゴムフロートがはずれていたり、ゴミがはさまっています。止水栓を閉めてから、ゴムフロートをはずし、排水口に当たる面をよく洗ってから取り付けましょう。またゴムフロートにさわったとき、手が黒くなるようなときは、ゴムが老化しているので、新しいものと交換しましょう。
ゴムフロートは、INAXのものだけ形が違います。また、一般的に密結用はサイズが大きいのですが、メーカーや年代によって違う場合があるので、購入する際にはずして持っていくとよいでしょう。
■ 水位がサイフォン(オーバフロー管)から水があふれているとき
浮き玉がはずれていたり、浮き玉に水が入っていると、給水がとまりません。はずれているときは支持棒をよくネジ込み、水が入っているときは、浮き玉を交換します。
浮き玉に異状がないときは、ボールタップの故障です。
ピストンバルブを取り出し、パッキングの面を見てみます。ゴミがからんでいるときは、よく洗って取り除き、摩耗しているときは、新しいパッキンに交換しましょう。パッキングは横から見ると台形なので、大きい方を下にして入れます。なおボールタップのネジがはずれない場合は、タンクからボールタンクを取り外してからパッキングを交換します。
◆◆◆◆ ポールタップのはずし方
ピストンバブルの交換でネジがはずれない場合は、ポールタップをはずしてピストンバルブを交換します。また、パッキングを交換しても水もれが直らない場合は、ポールタップを交換します。
1
止水栓を閉め、ハンドルを回してタンクの水を流してから作業します。
まず、一番外側のナットをはずして給水管をはずします。このとき、水がこぼれることがあるので、下にバケツを用意するか、ビニールシートを敷いておくとよいでしょう。
2
ポールタップを内側から引き抜きます。
作業が終わって取り付ける場合、また新しいボールタップに交換する場合、取付け方は逆の手順で行ないます。このとき、パッキングを入れ忘れるとその部分から水もれするので注意してください。
■ ロータンク用のボールタップの種類
ボールタップには種類があるので、交換する場合は合うタイプを運ぶことが大切です。購入する際に、古いボールタップをはずして持っていくと間違いありません。
上記3つのタイプには、それぞれ補助給水管つきのものと、そうでないものとがあります。補助給水管は、サイフォン型と呼ばれる便器に使われていて、ボールタップからオーバーフロー管にゴム管を取り付けることで、便器の水たまりを広くするために水を余分に流す役目をしています。
必ずサイフォン(オーバーフロー管)の内側に取り付けてください。