日本の住まいは、これまでに多数の地震により、さまざまな被害にあってきました。そして震災を契機に耐震基準が見直され、より地震に強い住まいづくりが進められてきました。
地震による被害は、次のようなものがあります。老朽化した土葺きの屋根瓦の落下。モルタルで仕上げた外壁の落下。1階が店舗で2階が住宅となっているようなバランスの悪い建物は地震の揺れによる変形が1階に集中して大きな被害を受けることがあります。基礎の被害によって建物が傾いたり、壊れたりすることもよくあります。
地震の力に耐えるには筋交いや合板張りの壁などの耐力壁を適切に用いることが重要です。耐力壁はつくり方により受け持てる耐力が違います。耐力は「倍率」で表されます。倍率が大きいほど強い耐力壁と言えます。また,住宅設計では「必要壁量」が法律で決めらられ、「耐力壁の倍率×その耐力壁の長さ」の総計が必要壁量以上にならなくてはなりません。
耐力壁だけでなく,間仕切の壁や腰壁などの「非構造部」の壁も重要です。住宅の必要壁を決める前提条件では、非耐力部の壁が住宅全体の水平耐力の3分の1を受けもつということになっています。
地震による力を地面に伝えるには、土台と基礎を確実につないでおく必要があります。それには、アンカーボルトという金具が使われます。コンクリートの布基礎として、かつ鉄筋を入れ、基礎にアンカーボルトを十分埋め込み、土台をしっかりと緊結することが重要です。
また、神戸・淡路島の地震では、雨漏りなどで土台や柱が腐朽した家や白蟻などによって土台や柱が侵食された住宅に被害が目立ちました。土台や1階の柱が、腐朽や蟻害を受けると地震の力を地面に伝えることができずに倒壊してしまうのです。結露を防止し、土台や柱が腐らないようにすることも地震に強い家をつくる大切な条件と言えます。