ガッテン! 失敗から学びました。
かつて日本の住まいは内外に自然の素材を用いて風通しのよい造りになっていました。どの家も縁側があって、季節の自然にふれる暮らしをしていました。かの兼好法師の「夏を旨とする」家づくりは、高温多湿な日本の風土に調和していたわけです。現代の住まいは、省エネのために気密性を高めて、冷暖房機器などに頼って室内環境をコントロールするようになっています。その反面、自然と断絶し、光、風、季節感などに鈍感な生活になってしまったのは残念です。
1 光と風をとりいれるには、窓がポイント。
採光や風通しをよくするためには、建物の方角や窓の位置・種類がポイントになります。隣家との距離や建物の高さによって採光や通風が妨げられないように配置を考えましょう。日当たりの悪い北側や周辺の建物に囲まれて暗くなる場合などには、トップライト(天窓)や高窓、出窓を採用する方法があります。プライバシーを確保しながら、風を通すにはルーバー窓やすべり出し窓などを使うなど、用途や場所に適した、開き勝手のものを選ぶと良いでしょう。
2 風の道をつくろう。
気密化された室内の空気を動かすには、換気扇などの機械を用いて強制的に換気する方法と自然の風を取り入れる方法があります。後者の場合、自然換気を意識して、風の道を計画します。
1.窓を設けたら、その窓の反対側にも開口を設けること。
2.下側から空気を入れたら、反対側の上部から空気を出すようにする。
3.部屋だけでなく、廊下、階段、玄関ホールなどにも風の通り道をつくる。
4.ガラリ付の扉や欄間なども風の道を考えて取り入れること。
5.窓の配置は、通風と採光を考えてレイアウトする。
3 自然素材を使おう。
シックハウス症候群が問題になって、ホルムアルデヒドを含む合板などの使用が規制されるようになりました。そして、無垢の木や珪藻土の壁、木炭や竹など、自然の素材が健康によいと注目されています。自然の素材は、森林浴でおなじみのフィトンチッドのように、健康によい成分を放出するものや呼吸作用によって湿気や汚れた空気を吸い取ってくれるものなどがあります。
4 涼温房の暮らし。
一年中、いつも快適な冷暖房や除菌までしてくれるエアコンや空気清浄機がはやっています。でも快適すぎる家や、雑菌のいない清潔すぎる家に暮らしていると、環境や気候の変化についていけない、虚弱体質の人間になってしまう恐れもあります。健康のことを考えると、人工的な快適さだけを求めるのではなく、夏は自然の暑さに、冬は寒さにふれて抵抗力をつけることも大切です。
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